[I-15-06] 黒毛和種全血の表面蛍光に基づくPLS回帰分析による血中レチノール濃度推定
【目的】前処理を必要としない簡便で迅速な血液検査法の構築を目指し,黒毛和種全血の表面蛍光に基づく血中レチノールの推定を行った。
【方法】但馬農業高校で肥育されている但馬牛からのべ132点の血液試料を得た。分光蛍光光度計の一滴測定ユニットに血液試料7 μLを滴下し,表面蛍光特性(EEM)を取得した。測定条件は励起波長300~400 nm,蛍光波長320~550 nm,バンド幅10 nmとした。HPLCにより別途,同試料のレチノール濃度を分析し,MATLAB (R2021a)および PLS Toolboxを用いてPLS回帰分析を行った。
【結果】EEMには複数のピーク形状が確認できたものの,レチノールの蛍光波長とされる位置には明瞭なピーク形状が見られず,他の血中成分の影響に埋もれていると示唆された。そこで蛍光波長400~550 nmの範囲を抽出してPLS回帰分析を行った結果,モデル構築における重要度を表すVIPにおいて,レチノールの蛍光波長とされる位置に高いピークが確認できた。また,R2 Predは0.92,RMSEPは8.72,RPDは3.33の高い精度が得られた。さらに解析範囲を重要度の高い波長域のみに絞り,励起310~345 nm,蛍光450~550 nmを用いたところ同程度の精度が得られた。狭い波長域に特化したシステム構築により迅速で簡便な分析も実現できると期待できる。
【方法】但馬農業高校で肥育されている但馬牛からのべ132点の血液試料を得た。分光蛍光光度計の一滴測定ユニットに血液試料7 μLを滴下し,表面蛍光特性(EEM)を取得した。測定条件は励起波長300~400 nm,蛍光波長320~550 nm,バンド幅10 nmとした。HPLCにより別途,同試料のレチノール濃度を分析し,MATLAB (R2021a)および PLS Toolboxを用いてPLS回帰分析を行った。
【結果】EEMには複数のピーク形状が確認できたものの,レチノールの蛍光波長とされる位置には明瞭なピーク形状が見られず,他の血中成分の影響に埋もれていると示唆された。そこで蛍光波長400~550 nmの範囲を抽出してPLS回帰分析を行った結果,モデル構築における重要度を表すVIPにおいて,レチノールの蛍光波長とされる位置に高いピークが確認できた。また,R2 Predは0.92,RMSEPは8.72,RPDは3.33の高い精度が得られた。さらに解析範囲を重要度の高い波長域のみに絞り,励起310~345 nm,蛍光450~550 nmを用いたところ同程度の精度が得られた。狭い波長域に特化したシステム構築により迅速で簡便な分析も実現できると期待できる。