日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼料1

2021年9月15日(水) 08:40 〜 12:00 栄養・飼料 (オンライン)

座長:柴田 昌宏(日本獣医生命科学大学)、伊藤 文彰(農研機構北農研)、生田 健太郎(兵庫県立農林水産技術総合センター淡路農業技術センター)、黒川 勇三(広島大学)、福森 理加(酪農学園大学)

[I-15-10] 高温環境が泌乳牛の体温・呼吸数ならびに飼養成績に及ぼす影響

樋口 浩二1、*原 公庸2、澤戸 利衣1、野中 最子1、大谷 文博1、寺田 文典1 (1. 農研機構畜産部門、2. 熊本畜研)

【目的】 夏季に代表される高温環境は泌乳牛の生産性を著しく低下させることがよく知られているが、将来、年平均気温の上昇や真夏日の増加が予測されており、気候の影響についての評価体系を構築することは重要と考えられる。本研究では泌乳牛を一定温度・湿度の環境に順次暴露し、体温・呼吸数および飼養成績に及ぼす影響を検討した。
【方法】 ホルスタイン種泌乳中後期牛4頭(平均体重698kg、乳量30kg程度)を環境調節室に収容し、相対湿度は60%一定、環境温度を18、23、28℃と2週間毎に順次調節し、各温度での最終5日間にヘッドケージを併設した消化試験ストールにおいて全糞尿採取による消化試験を実施した。飼料はトウモロコシサイレージと市販配合飼料を主体としたTMR(CP16%程度)を飽食させた。体温は直腸で、呼吸数は目視で測定した。
【結果】 環境温度が高くなるにつれて体温および呼吸数は増加し、体重、乾物摂取量および乳量は減少した。乳脂率に差はなかったが、乳タンパク質率は環境温度が高くなるにつれて低下した。乾物、有機物、中性デタージェント繊維の消化率は環境温度が高くなるにつれて上昇した。環境温度を独立変数、18℃に対する3.5%脂肪補正乳量の低下割合(%)を従属変数とするとy=-0.236x2+6.148x+65.670の関係式が得られた。