日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼料2

2021年9月15日(水) 12:40 〜 15:00 栄養・飼料 (オンライン)

座長:友永 省三(京大院農)、豊田 淳(茨大院農学)、杉野 利久(広大院生物圏)、塚原 隆充(栄養・病理研)

[I-15-24] 生産成績が異なる農場における繁殖母豚の血液生化学的な特徴

*塚原 隆充1、吉村 修2、水上 佳大3、福田 菊人4、井上 亮5 (1. 栄養・病理研、2. 日清丸紅飼料、3. あかばね動物クリニック、4. 豊橋飼料、5. 摂南大農)

演者らは,養豚場毎に固有の腸内細菌叢が存在し,農場成績と関連していることを報告した(瓜生ら,第126回大会)。農場成績の変化は,腸内細菌代謝物が血流に乗って影響を及ぼしていることも考えられる。本研究では,農場成績が異なる農家の妊娠豚から採血し,農場間での血液性状の特徴を検討した。農場成績は既報と同様に母豚1頭当たりの年間離乳頭数を基準とし,離乳頭数が多い農家(Ga=29.4頭,Gb=28.9頭)と少ない農家(Na=19.5頭,Nb=23.0頭)計4農場から安定期の3〜6産目LW or WL系妊娠豚7〜10頭ずつ採血した。対照として,実験農場(C)を設定し,比較とした。得られた血漿は一般的な血液生化学検査の他,ELISA法を用いたTNF-alpha測定,GC-MSを用いた代謝物網羅解析及び腐敗産物代謝物分析,LC-MS/MSを用いたキヌレニン代謝物分析などに供した。N農場で炎症マーカーであるTNF-alphaや肝機能マーカーであるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼがC及びGよりも高値化した。同様に腸内細菌叢が生産する腐敗産物パラクレゾールの代謝物であるパラクレシルグルクロニドも高値化した。近年,ワクチン接種の普及とともに,農場内で定期的な採血を行う様になった。ワクチン抗体価やウイルス検出に加え,上記を同時に分析することで,農場成績の変化を鋭敏に検出出来るようになるかもしれない。