[I-15-30] 採卵鶏へのアメリカミズアブ粉の長期給餌が盲腸内短鎖脂肪酸濃度や盲腸内細菌叢に及ぼす影響
【目的】食品残渣を用いて飼育したアメリカミズアブ幼虫(HM) が採卵鶏の盲腸内短鎖脂肪酸濃度及び盲腸内細菌叢に及ぼす影響を検証した。【方法】HMは野菜屑などを用いて15日齢まで飼育後、乾燥・脱脂して粉末とした。試験鶏（ジュリア、n=29）を対照（魚粉3%含有飼料）区と、飼料中の魚粉をHMと半分および全て代替した試験区（1.5%区、3%区）の3区に分け、12か月の給与試験を行い、試験最終日に採卵鶏（n=15）の盲腸内容物を採取し、-80℃で保存した。短鎖脂肪酸濃度はGCMSを用いて分析し、腸内細菌叢はDNAを抽出後16S rRNA V3-V4領域を増幅し、Qiime2により細菌叢の占有率や多様性を解析した。【結果】採卵鶏盲腸内の酢酸、プロピオン酸および総短鎖脂肪酸濃度が対照区に比べ3%区で有意に高かった（p<0.05）。一方、盲腸内細菌叢のα多様性では対照区および3%区に比べ1.5%区が有意に高値を示した（p<0.05）。β多様性ではunweighted UniFrac距離で対照区と3%区に有意差が見られ、weighted UniFrac距離で対照区と1.5%区に有意差が見られた。盲腸内細菌叢の占有率では対照区と1.5%区の間で12種類、対照区と3%区の間で18種類の細菌属に有意差が見られた。よって、HM給餌により採卵鶏の腸内細菌叢は修飾され、酢酸やプロピオン酸に資化された。