日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

2. 遺伝・育種

育種・遺伝1

2021年9月15日(水) 08:30 〜 12:00 育種・遺伝 (オンライン)

座長:山崎 武志(農研機構北農研)、馬場 俊見(日ホ北支局)、萩谷 功一(帯畜大)、井上 慶一(家畜改良セ)、西尾 元秀(農研機構畜産部門)、荒川 愛作(農研機構 畜産研究部門)

[II-15-10] 乳牛の大規模SNPデータを利用したシングルステップのゲノミック評価精度の検証

*馬場 俊見1、後藤 裕作1、川上 純平1、増田 豊2、河原 孝吉1 (1. 日ホ北支局、2. 酪農大農食環境)

【目的】国内のホルスタインにおけるSNP検査累積頭数は、2020年に10万頭を越えた。シングルステップのゲノミック評価(SS法)は優れた評価手法であるが、SNP検査頭数の増加に伴う血縁行列およびその逆行列に要する計算量の増加が問題となる。本研究では、大規模頭数のSNPデータを扱うために、APY法で構築したゲノミック関係(G)行列を応用時のSS法の評価精度を検証した。【方法】本分析では、104,434頭のSNPデータを利用した。表型記録には初産雌牛の決定得点を利用し、切断データを利用した交互検証で雄牛338頭のゲノミック評価値(GEBV)の推定精度を評価した。APY法のG行列構築に利用したコア個体には、(1)無作為抽出した 12,782頭(Core-1)、(2)種雄牛5,023頭と記録を有する雌牛11,835頭から成る16,858頭(Core-2)を利用しそれぞれGEBVを推定した。Core-1の個体数は、マーカー行列を固有値分解し寄与率が98%を超える次元数とした。【結果】APY法によるG行列の保持に要するCPUメモリの使用量は、従来のG行列と比較し22.9から29.6%まで減少した。完全データから推定したderegressed-EBVに対してGEBVを説明変数とした線形回帰で得られた決定係数は、Core-2に比べてCore-1でわずかに高かった。