日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2021年9月15日(水) 09:00 〜 11:30 繁殖・生殖工学 (オンライン)

座長:松山 秀一、松本 浩道、杉村 智史(東京農工大学)、水島 秀成(北大院理学)

[III-15-07] 液状輸送後に凍結したウシ精子内代謝物質の検討

*難波 陽介1、絹川 将史1、内山 京子1 (1. 家畜改良事業団)

【背景】本研究では、液状輸送後の凍結により変化するウシ精子内代謝物質を探索することを目的とした。【材料および方法】ホルスタイン種雄牛4頭の精液を用いた。精液はトリスクエン酸緩衝糖(TC)液を用いて2倍希釈し、18℃に保温して輸送した。輸送後、精子はTC液で遠心洗浄したのち、常法に従って凍結した。輸送後および凍結融解後の精子運動性は運動解析装置を用いて測定した。また、輸送後および凍結融解後の精子1000万をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、メタノールで精子内成分を抽出した後、限外ろ過によりタンパク質成分を除去した。キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析法により抽出液中のイオン性成分を測定した。【結果および考察】59種の物質が検出され、その内24種が凍結前後に全てのサンプルから検出された。その内、凍結前と比較して凍結後にグリシンなどのアミノ酸やコリンを含む4種の物質の相対面積値が有意に(P<0.05)低値を示した。また、アルギニンやリジンなどのアミノ酸やカルニチンを含む8種の物質の相対面積値は有意に(P<0.05)高値を示した。凍結前または凍結後のみに検出された物質はなかった。以上より、凍結時に変化するアミノ酸や脂肪酸のバランスを保つ添加剤が輸送したウシ精子の保存性向上に有効な可能性が考えられた。