[IIYS-01] 熊本系褐毛和種の遺伝性疾患に関する研究
【目的】経済性に直接的・間接的な被害を与えるため, 家畜の育種改良を進める上で遺伝性疾患の排除は重要である. 本研究では熊本系褐毛和種における軟骨異形成性矮小体躯症, 血液凝固第XI因子欠損症, チェデアックヒガシ症候群, 血液凝固第XIII因子欠損症, バンド3欠損症, IARS異常症, バーター症候群1型の状況を調査した. 【方法】28頭の種雄牛の産仔を対象に遺伝子型判定を行い, 原因変異が検出された個体についてはその半きょうだいの遺伝子型も調査した. 【結果】軟骨異形成性矮小体躯症の原因変異をヘテロ接合で持つ個体が1頭検出されたが, この個体の半きょうだいの遺伝子型は全てヘテロ接合型だったため, この原因変異は母牛に由来することが示唆された. 発症に関わる別の原因変異をホモ接合で持つ個体が1頭検出されたため, 種雄牛にこの原因変異の保因牛がいることが判明した. また, 28頭の種雄牛の内, 少なくとも6頭は血液凝固第XI因子欠損症の保因牛であることが明らかになった. 血液凝固第XIII因子欠損症の原因変異は14頭の種雄牛の産仔で検出された. ヘテロ接合型の産仔の頻度が50%以上の種雄牛が2頭存在し, これらは保因牛であることが示唆された. 調査した個体の約30%が原因変異をヘテロ接合で保持していたため, この原因変異を保因する母牛が複数存在すると考えられた.