日本畜産学会第129回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞演題

優秀発表2

2021年9月14日(火) 09:30 〜 11:15 優秀発表応募演題2 (オンライン)

座長:万年 英之(神戸大院農)、山田 宜永(新潟大農)、澤井 健(岩手大学)、原山 洋(神戸大院農)

[IIYS-04] 黒毛和種におけるゲノム上の近交度及び近交退化に関する研究

*河野 聡馬1、揖斐 隆之1 (1. 岡山大院 環境生命)

【目的】近交退化とは遺伝子のホモ化により表現型値の集団平均が低下することである。従来、ホモ型遺伝子割合の指標として血統情報が利用されていたが、現在はゲノム情報からホモ型遺伝子の詳細な測定が可能となっており、その一つに「染色体に占めるROH(ホモSNP連続領域)の割合」をゲノム近交度とするものがある。本研究では黒毛和種のSNP情報をもとにROHなどのゲノム近交度を測定し、繁殖能力の近交退化を検討した。 【方法】大規模農家体から収集した黒毛和種の繁殖雌牛782頭の繁殖記録とSNP情報37,129か所/頭を分析に用いた。対象形質は子牛生産指数と初産日齢を用い、事前集団で母数効果の補正を行った。ROHはPLINK v1.07を用いて測定した。全塩基長におけるROH長の割合をゲノム近交度(FROH)とし補正表現型値への回帰を近交退化量とした。また、各染色体長におけるROH長の割合を染色体毎のゲノム近交度(FROH1~30)とし、同様に補正表現型値への回帰を近交退化量とした。 【結果】全染色体における近交退化量は子牛生産指数では有意であった。各染色体における近交退化量は子牛生産指数では第12,15,27染色体、初産日齢では第4染色体で有意であった。ROHにおけるゲノム近交度の上昇が繁殖能力を有意に低下させることが示唆された。今後は影響を持つ特定染色体領域を検討する予定である。