日本畜産学会第129回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞演題

優秀発表2

2021年9月14日(火) 09:30 〜 11:15 優秀発表応募演題2 (オンライン)

座長:万年 英之(神戸大院農)、山田 宜永(新潟大農)、澤井 健(岩手大学)、原山 洋(神戸大院農)

[IIYS-06] 器官培養におけるウシ精巣組織の凝集機序の解明

*川邉 悠介1、沼邊 孝2、種村 健太郎1、原 健士朗1 (1. 東北大院農、2. みやぎ農業振興公社)

ウシ体外精子産生系の確立は個体飼育コストの低減や遺伝子資源の有効利用を可能にし、将来の家畜繁殖の基盤となる技術であるが未だ成功例は無い。現在、マウスでは精巣内の精細管と間質の空間配置を再現し培養可能な系として器官培養法があるが、同法をウシ精巣に用いると培養中に組織片が収縮・球状化する凝集現象が確認される。これは精巣細胞群の空間的配置の攪乱と培養環境の不均一化という問題を起こし、ウシ精巣器官培養系の問題解決のためには凝集機序の理解とその制御が必要であるが、その機序は不明である。本研究では器官培養下のウシ精巣組織の特徴的な凝集反応に寄与する細胞と分子の特定を目的とした。5か月齢黒毛和種の去勢精巣を細切し、間質が付着した精細管と間質を除いた精細管を用意し、各々ミオシン阻害剤であるBlebbistatin添加培地もしくは非添加培地で各々1週間器官培養をした。培養中、毎日組織形態を撮影し、凝集指標の円形度と収縮度を算出した。非添加培地では精細管+間質、精細管単独の両区で凝集を起こし、これらの形態変化は両区で有意差が認められなかったが、Blebbistatin添加により両区で同様に組織の凝集が阻害されていた。以上の結果から凝集は精細管単独で説明でき、アクトミオシン阻害によって非凝集状態で培養できることが示唆された。今後、本技術を基盤にした器官培養技術の開発が期待される。