日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理1

2021年9月15日(水) 08:40 〜 12:00 形態・生理 (オンライン)

座長:小笠原 英毅(北里大獣医)、室谷 進(農研機構畜産部門)、松崎 正敏(弘前大農学生命)、小林 謙(北大院農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、鈴木 裕(北大院農)

[IV-15-01] 培養脂肪細胞由来エクソソームは骨格筋細胞分化を抑制する

*尾嶋 孝一1、室谷 進1、和田 広夢2、小川 広太郎2、大江 美香1、滝本 浩一2、西邑 隆徳3 (1. 農研機構畜産研、2. 長岡技科大、3. 北大院農)

【背景・目的】エクソソームは細胞が分泌する機能性小胞であり、遺伝子発現を調節するmicroRNA (miRNA)を含んでいる。培養脂肪細胞はエクソソームを分泌するが、エクソソーム内にどのような機能を持ったmiRNAが含まれるのかは不明な点が多い。本研究ではマウス脂肪前駆細胞である3T3-L1細胞が分泌するエクソソームが骨格筋細胞分化に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】3T3-L1細胞の脂肪分化0日目(D0)および12日目(D12)の培養上清から超遠心分離法によりエクソソーム画分を調製した。D0およびD12エクソソーム画分に含まれるmiRNAの発現量をPCRで確認した。マウス由来培養骨格筋細胞の培養液にエクソソーム画分を添加し、30時間後にRNAを調製し、PCRにより筋分化マーカー等の遺伝子発現を調べた。【結果】D12エクソソーム画分ではD0よりもpro-adipogenic miRNAsの高い発現を示した。脂肪細胞由来D0およびD12のエクソソームを添加した培養骨格筋細胞では、骨格筋特異的な転写調節因子であるMyogおよびMyf6の発現が有意に低下した。さらに、胚型ミオシン重鎖(Myh3)の発現も低下した。いずれもD12よりもD0エクソソームにおいて抑制効果が高かった。本結果は、脂肪細胞由来エクソソームに含まれるmiRNAが骨格筋細胞分化を抑制する可能性を示唆している。