日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理1

2021年9月15日(水) 08:40 〜 12:00 形態・生理 (オンライン)

座長:小笠原 英毅(北里大獣医)、室谷 進(農研機構畜産部門)、松崎 正敏(弘前大農学生命)、小林 謙(北大院農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、鈴木 裕(北大院農)

[IV-15-09] 黒毛和種仔牛の生理生体情報と肥育・産肉成績との関連性

*荒川 翔太朗1、髙木 理宏2、青沼 達也2、上本 吉伸1、盧 尚建1 (1. 東北大院農、2. 宮城県畜試)

【目的】黒毛和種の仔牛の哺乳期から育成期の移行期における健全性と増体能力は、肥育成績や産肉性と深く関連している。したがって、本実験では、肥育・産肉成績に関わる仔牛の生体由来のバイオマーカーの検索を目的として、肥育開始時の仔牛の生理生体データと肥育・産肉成績との関連を調査した。 【方法】黒毛和種仔牛(8カ月齢)の727頭(雄412頭、雌315頭)の生理・生体情報として体尺測定(体重、体高、胸囲)と採血を行い、血液中の代謝産物濃度を解析した。各仔牛は肥育後に出荷し、産肉成績(枝肉重量、ロース芯面積、BMSナンバーなど)を得た。仔牛の生理生体情報と肥育・産肉成績を解析するために、Ward法を用いた階層的クラスター分析と主成分分析を行った。 【結果】去勢牛、雌牛ともに肥育開始時の個体の体重と枝肉重量には正の相関が見られた。また、クラスター解析の結果より全体を高増体区と低増体区の2区に分類し比較を行ったところ、高増体区において枝肉重量、ロース芯面積、BMSナンバーは高く、血中代謝産物ではアルブミン(Alb)、総コレステロール(T-Cho)は高値であった。主成分分析では、肥育開始時のAlbとT-Choは枝肉重量、ロース芯面積、BMSナンバーに関与する因子であった。以上の結果により、AlbとT-Choは育成期の仔牛の発育状況と産肉成績を予測し得る重要な因子である可能性が示唆された。