日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理2

2021年9月15日(水) 13:00 〜 14:40 形態・生理 (オンライン)

座長:太田 毅(京大院農)、川端 二功(弘前大農生)、西村 正太郎(九大院農)

[IV-15-23] 子牛のルーメン組織発達における増殖細胞群の寄与

*鈴木 裕1、林 英明2、芳賀 聡3、小池 聡1、小林 泰男1 (1. 北大院農、2. 酪農大獣医看護、3. 農研機構畜産部門)

【目的】 子牛の第一胃(ルーメン)は固形飼料の摂取の開始により急激に発達する。ルーメン上皮の発達は主に短鎖脂肪酸により誘導されること知られているが、標的細胞が不明であることなど、その機序には未解明の部分が多い。ルーメンと同様に重層扁平上皮である食道では、基底層に存在する増殖細胞が細胞供給源として働いている。本研究では、子牛のルーメンにおいて増殖細胞を探索し、それらの細胞群による組織発達への寄与について検討した。
【方法】 約4週齢、約13週齢および約40週齢(それぞれn=4,4および3)のホルスタイン種牛からルーメン上皮組織を採取し、qRT-PCR法により細胞増殖マーカー遺伝子の発現量を測定した。また同じ組織サンプルをKI67およびSURVIVINの免疫蛍光染色に供し、組織中の増殖細胞およびその分裂様式を観察した。
【結果と考察】 PCNAおよびMKI67発現量およびKI67発現細胞数は4週齢において高く、その後は低下した。SURVIVINを発現する増殖細胞は基底層に存在し、4週齢においては基底膜に対して垂直方向への分裂割合が高く、13週齢と40週齢では水平方向への分裂割合が高いことが明らかになった。以上から、子牛のルーメンにおいては、急激な組織発達がはじまる4週齢時点で細胞増殖活性が上昇しており、これらの細胞は垂直分裂することで上皮の肥厚化に寄与することが示唆された。