[IYS-02] in vitro培養試験による木質飼料のウシルーメン内発酵特性
背景:現在日本は飼料自給率が低く、持続可能な国産飼料が求められている。国産飼料のひとつに木材から作られる木質飼料がある。木材はリグノセルロースを豊富に含むことからルーメン内での分解性が低いが、蒸煮処理をすることで利用性が高まることが分かっており、粗飼料としての利用が見込まれている。本研究は木材を蒸煮処理した木質飼料のウシルーメン内発酵特性を評価することを目的とした。 方法:ウシのルーメン液を用いて、シラカンバ、ヤナギ、カラマツ、トドマツの4種の木質飼料を基質としたin vitro発酵試験を行った。それぞれの蒸煮前のもの、及び慣行飼料として配合飼料、チモシー乾草、稲わらを比較対照とした。嫌気培養後、ガス生成量、短鎖脂肪酸濃度を測定し、培養液中の微生物叢構成を解析した。 結果:木材4種は蒸煮処理によりウシルーメン液からの総ガス生成量および短鎖脂肪酸生成量が高まり、ルーメン内発酵性が高まることが示された。蒸煮後の木材の中ではシラカンバが最も高い発酵性を示し、稲わらと同程度であることが明らかとなった。シラカンバおよびヤナギの木質飼料の発酵に関与する細菌叢は慣行飼料とは異なり、慣行飼料の試験区で検出されたStreptococcus属細菌の存在割合が低い値を示した。本属細菌はルーメンアシドーシス起因菌であることが知られていることから、これらの木質飼料はルーメンアシドーシスを緩和する可能性が示された。