[V-15-06] 黒毛和種牛肉における調理法の違いが食味に与える影響について
【目的】黒毛和種牛肉について、調理法の違いが食味に与える影響を明らかにするために、同一個体の同一部位を用いて、煮肉法と焼成法による分析型官能評価試験を実施した.【方法】供試サンプルは、と畜後、真空包装のもと14日間チルド熟成した鳥取県産黒毛和種の肥育牛50頭の胸最長筋とした。煮肉法では、和牛肉を厚さ0.5cm直径3cmに成形して約80℃の2%塩水中で2分間加熱調理し、焼成法では、和牛肉を厚さ1cm直径3cmに成形して220℃のホットプレートで表面を60秒、裏面を90秒加熱調理し、分析型パネルに提示した.分析型官能評価試験は、熟練したパネリスト3名で行い、基準肉を設けた5段階尺度で行った.評価項目は、鼻先での甘い香り、鼻閉での甘味、うま味、鼻開での甘い香り、牛肉らしい香り、軟らかさ、脂肪の滑らかさ、風味の強さ、総合評価の9項目とした.【結果】いずれの官能評価項目においても、煮肉法と焼成法で強い正の相関関係が認められ、「鼻先での甘い香り」が最も低い正の相関を示し(相関係数0.73)、「軟らかさ」が最も高い相関を示した(相関係数0.99)。また、いずれの調理法においても、肉質等級5では3及び4よりも官能評価点が有意に高かった。