[V-15-07] 牛脂肪における屈折率と脂肪酸組成(ガスクロマトグラフ値と近赤外光ファイバ値)の関係
【目的】脂肪質評価法としてガスクロマトグラフ法(GC)や近赤外光ファイバ法(NIR)による脂肪酸組成が利用されている。脂肪酸組成は相対値で、条件により誤差が出たり、GCとNIR各値が乖離することもある。その原因と対策を検討するため、絶対値で再現性が高い屈折率とGC、NIR各脂肪酸組成値の関係を調べた。【方法】枝肉市場で交雑牛45頭の筋間脂肪にNIRを適用し、分析用試料を採取した。試料はGCで脂肪酸組成を、加熱抽出脂肪と精密屈折計(50℃)で屈折率を測定した。【結果】相関係数は、GCとNIRで一価不飽和脂肪酸(MUFA)0.80、飽和脂肪酸(SFA)0.85、屈折率とGCでMUFA 0.87、SFA -0.92、屈折率とNIRでMUFA 0.86、SFA -0.87といずれも強い直線相関を示した。GC値とNIR値で若干の乖離があった試料を屈折率との関係で検討したところ、一方のみが大きく離れている場合はなく、一方の値が屈折率に対して+に、別法の値が―になっている場合に5%程度の乖離が生じていた。乖離した検体をGC再分析したところ、屈折率とGCの相関係数が若干高まっただけでなく、GCとNIRの乖離も小さくなった。以上より、屈折率からみても、GC、NIRに若干の誤差はあるものの、ともに脂肪質評価法として精度は高く、GCでは屈折率を基にした再分析で精度を向上できる可能性が示唆された。