日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用1

2021年9月15日(水) 08:50 〜 12:00 畜産物利用 (オンライン)

座長:水野谷 航(麻布大獣)、有原 圭三(北里大獣医)、小宮 佑介(北里大獣医)、下里 剛士(信州大)、荒川 健佑(岡山大院環境生命)

[V-15-09] 鶏肉の熟成に伴うサルコメアZ線近傍コネクチン20-kDa断片化の解析

*山之上 稔1、永井 遼1、楢崎 涼平1、福田 伊津子1、上田 修司1、白井 康仁1 (1. 神戸大院農)

【目的】過去の本大会で、食肉の熟成に伴い筋原線維弾性タンパク質コネクチン由来の約20-kDa断片が筋漿に現れ、増加することを報告している。熟成中に20-kDa断片がどのような要因で生じるのかは未解明であり、今回コネクチンの断片化に関与するプロテアーゼについて報告する。【方法】ブロイラーをと鳥後、4℃で0、24、48、72、96時間保存した胸筋から筋漿を調製した。また熟成0時間の筋原線維を調製し、種々のプロテアーゼで筋原線維を処理して遠心分離後に上清を得た。筋漿および上清中のコネクチン20-kDaをウェスタンブロッティング法で検出した。さらに熟成0時間の筋原線維に対してCa2+濃度、pH、および反応温度を変えてカルパイン処理を行い、上清中の20-kDaをウェスタンブロッティング法で調べた。【結果】鶏肉の熟成に伴いコネクチン20-kDaが筋漿中に増加し、これまでの結果と一致した。熟成0時間の筋原線維をカルパインで処理したところ、コネクチン20-kDaが検出されたが、トリプシン、V8プロテアーゼおよびカテプシンB処理ではコネクチン20-kDaは検出されなかった。また死後筋肉内に類似したCa2+濃度、pH、および温度で筋原線維をカルパイン処理したところ、同断片を生じた。以上の結果は、熟成に伴うコネクチンの20-kDa断片化にカルパインが関与していることを強く示唆している。