日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用1

2021年9月15日(水) 08:50 〜 12:00 畜産物利用 (オンライン)

座長:水野谷 航(麻布大獣)、有原 圭三(北里大獣医)、小宮 佑介(北里大獣医)、下里 剛士(信州大)、荒川 健佑(岡山大院環境生命)

[V-15-11] 乳中ヘキサナール濃度の経時変化と各脂肪画分中の脂質含量との関連

*三谷 朋弘1、佐賀井 萌1、森田 茂2、上田 宏一郎3 (1. 北大FSC、2. 酪農学園大学、3. 北大院農)

【目的】前報(日本畜産学会第128回大会)において、乳中ヘキサナール濃度の経時変化と乳成分との間に関連があることを報告した。しかし、早い段階からヘキサナール生成が進行するグループの成分的特徴は明確ではなかった。そこで、本報告ではヘキサナール生成の前駆物質である過酸化脂質を含めた各脂肪画分中の脂質含量とヘキサナール濃度の経時変化との関連を検討した。【方法】前報で解析した213サンプルから104サンプルを選抜し、解析に用いた。各ヘキサナール濃度の経時変化グループのn数は、G-1(0~72h低濃度で維持)、G-2(0hから徐々に上昇)およびG-3(0hで高く72hまで上昇)、それぞれで30、50および24サンプルであった。各サンプルの中性脂肪(TG)およびリン脂質(PL)中の脂肪酸および過酸化脂質(LOOおよびLOH)濃度を定量した。【結果】TG中のリノール酸および多価不飽和脂肪酸(PUFA)濃度はG-2で高かった。PL中のリノール酸およびPUFA濃度にグループ間で差はなかった。TG中のLOH濃度はG-3で高く、LOOおよびLOHのC18脂肪酸に占める割合はG-3でG-1およびG-2と比較して高かった。リン脂質中の過酸化脂質濃度および割合にグループ間で差はなかった。以上より、早期からヘキサナール生成が進行するメカニズムにはTG中の過酸化脂質が関連していることが示唆された。