栄養・飼養1

[I-16-03] 適温または高温環境下のホルスタイン種育成前期雌牛におけるメタン排出量の推定

*Itoko NONAKA¹, Tomoyuki Suzuki¹, Kouji Higuchi¹, Rie Sawado¹, Fuminori Terada¹ (1. NILGS/NARO)

【目的】ウシ個体からのメタン排出量(CH₄)を推定することが可能なスニファー法の適用範囲を拡げるために、育成牛のメタン排出量算出式の作成を試みた。また暑熱環境がメタン排出量推定に及ぼす影響についても検討した。
【方法】開放式呼吸試験チャンバーを用いたホルスタイン種育成前期雌牛のべ56例のエネルギー出納成績を用い、CH₄、CH₄/乾物摂取量(DMI)、メタン転換効率（MCF）推定式を作成した。説明変数として環境条件(適温,高温)、飼養成績(体重(BW),DMI)、飼料タンパク質(CP)含量,代謝エネルギー(ME)含量またはME摂取量(MEI)/総エネルギー摂取量(GEI)、CH₄/CO₂比を取り上げた。
【結果】(1)供試したデータの平均値は9.0ヶ月齢、BW 239kg、DMI 5.0kg/日/頭、CH₄ 165L/日/頭、CH₄/DMI 32.8L/kg、MCF 0.073、CH₄/CO₂比0.077であった。(2)育成前期牛からのCH₄およびCH₄/DMIは、BW、DMI、ME含量、CH₄/CO₂比の値から高い精度で推定できた(調整済R²＝0.97および0.90)。また、MCFはBW、DMI、MEI/GEI、CH₄/CO₂比によって調整済R²＝0.75の精度で推定することができた。(3)CH₄、CH₄/DMIに及ぼす暑熱環境の影響は有意であり、1割程度の差が認められた。