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[I-16-10] ホルスタイン種乳牛の初乳中酸性オリゴ糖濃度の推移
【目的】乳用子牛の疾病罹患率や死廃率は依然として高く,初乳中に含まれる受動免疫に必要なIgG以外の因子も子牛の免疫および発育に影響している可能性がある。本研究は,腸管免疫機能や発達に影響する酸性ミルクオリゴ糖に着目し,その濃度推移を調査した。【方法】供試動物としてホルスタイン種乳牛23頭(初産牛8頭,経産牛15頭)を供試した。分娩後4日間(計8回)の乳(初乳,移行乳)を採材し,糖質画分を抽出後,PMP標識化および逆相液体クロマトグラフィーにより各酸性ミルクオリゴ糖濃度を測定した。【結果】乳中ラクトース濃度は,初乳で最も低く,その後徐々に増加した一方で,グルコースは一定で推移,ガラクトースは,初乳で高く,徐々に減少した。酸性ミルクオリゴ糖(6’-シアリルラクトース;6’-SL,3’-シアリルラクトース;3’-SL,ジシアリルラクトース;DSL,N-アセチルラクトサミン;LacNAc,6’-シアリルラクトサミン;6’-SLN)は,初乳中濃度が最も多く,その後減少した。酸性オリゴ糖のうち44%は3’-SLであり,最も初乳中濃度および含有量が高かった。6’-SL,DSLおよびLacNAc濃度は,初産牛よりも経産牛において高値を示した。3’-SLおよび6’-SLN濃度は乾乳期間および子牛生時体重と正の相関が認められた。