日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:梶川 博(日本大生物資源科学)、三森 眞琴(農研機構畜産研究部門)、神谷 充(農研機構中央農研)、福間 直希(帯広畜産大学)、杉野 利久(広大院生物圏)

10:50 〜 11:00

[I-16-12] ヤギによるパイン残渣液の飼料価値

*梶川 博1、劉 春艶1、浅野 早苗1、小西 瑛1、鈴木 朱夏1、根岸 明日香1、高橋 慶2 (1. 日大生資科、2. 環境テクシス)

【目的】食品農産加工から発生する廃棄・副産物の飼料利用は、持続的な畜産生産の維持や、環境負荷の低減につながる。パイン副産物の脱水処理で発生する残渣液は、糖分が高く高エネルギー飼料としての利用が期待される。本研究では反芻動物に対するパイン残渣液の飼料価値を検討した。【方法】去勢雄シバヤギ4頭に、対照区としてアルファルファキューブをエネルギー維持量(NRC)給与し、乾物でその20%をパイン残渣液で置換したものをパイン液区とした。全糞採取の消化試験を実施し、飼料給与後2~3時間後に血液およびルーメン内溶液を採取した。【結果】パイン残渣液の成分は、DM 11%、粗灰分、CP、NFCが各3、2、93 %DMであり、pHは3.2であった。DM消化率は83%、TDNは95%DMであった(CPとNDF消化率は<0、NFC消化率は>100)。ルーメン内特性は、パイン液区でpH(6.5 vs 5.7)と酢酸が有意に低く、代わりに乳酸が高濃度で示された(46mM)。血液性状では、パイン区でBUN、中性脂肪で低い値が、ケトン体で高い値が示された。尿中プリン体から推定したルーメン微生物合成量や、血液中のストレスマーカーには、両区で差は見られなかった。以上の結果から、パイン残渣液は反芻家畜に対する高エネルギー飼料として利用可能であるが、ルーメン内アシドーシス発生のリスクを考慮する必要がある。