日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:梶川 博(日本大生物資源科学)、三森 眞琴(農研機構畜産研究部門)、神谷 充(農研機構中央農研)、福間 直希(帯広畜産大学)、杉野 利久(広大院生物圏)

11:10 〜 11:20

[I-16-14] 暑熱条件下の乳用牛における活性型酵母およびバイパスビタミンCを含む混合添加物給与による代謝改善効果

*村上 大貴1、加藤 ゆめみ2、市川 諒2、南澤 萌梨2、Maria Aniskina1、吉田 智佳子2、田中 繁史2、髙橋 若菜2、西川 孝一2、田川 伸一3、國實 寿典4 (1. 新大院自然研、2. 新大農、3. 日本甜菜製糖株式会社、4. 清水港飼料株式会社)

【目的】暑熱条件下の泌乳牛における活性型酵母(サッカロマイセス),バイパスビタミンC,ビタミンB₅ およびカビ毒吸着剤が含まれる混合添加物(VCM)の給与が,生産性および代謝に与える影響を明らかにする。【方法】2021年4月から9月に,泌乳中・後期のホルスタイン種経産牛6頭を供試した。配合飼料の給与量は体重および乳量に応じて,ビートパルプは1.5㎏/日とし,試験区(n=3)では500 g/日分をVCM 650 g/日と代替した。粗飼料は,6月まで輸入牧草主体で定量給与,7月から自給イネ科牧草主体で飽食とした。温湿度指数(THI),乳量,体重,BCS,エネルギー充足率,ルーメン㏗,血液および乳成分を測定した。【結果】牛舎内のTHIは,6月に72以上となり8月に82に達した。乳量は,5月から8月の減少率が対照区で大きい傾向があった。体重は,両区とも6月が最大で9月まで同様に減少した。BCSは,試験区で維持,対照区で低下の傾向があった。エネルギー充足率は,7月に対照区で低下した(p < 0.05)。ルーメンpHは,7月以降,対照区で低くなる傾向があった。BUNは,8月に試験区で正常値以下を示し,ASTおよびγ-GTは両区とも正常範囲で推移した。乳脂肪,乳タンパク質および無脂固形分率は,試験区で高い傾向があった。以上より,泌乳牛へのVCM給与は,暑熱による生産性低下を軽減することが示唆された。