11:40 AM - 11:50 AM
[I-16-17] シラカンバ由来天然化合物によるルーメンアシドーシス起因菌抑制効果の検証
[目的] 反芻家畜特有の疾病であるルーメンアシドーシスは、ルーメン内常在菌Streptococcus spp.によって引き起こされる。そのため、本細菌を抑制することによる予防策が求められる。シラカンバに含まれる天然化合物であるベツリンは、ヒト口腔内に由来するStreptococcus spp.に対して抑制効果をもつことが報告されており、近縁種であるルーメン内のStreptococcus spp.に対しても抑制効果を示すことが予想された。この予想を確かめるため、本研究では天然化合物ベツリンによるルーメン内Streptococcus spp.の抑制効果を評価した。 [方法] 試験1:ルーメン内環境を模した人工培養系を用い、ベツリン添加区・無添加区の培養12時間後の細菌叢・揮発性脂肪酸量を比較した。試験2:代表菌株(S. bovis ATCC 33317)に対して濃度勾配をつけたベツリンを添加し、12時間培養を行い、1時間ごとにODを測定した。 [結果] 試験1において、ベツリン添加は揮発性脂肪酸量に影響を与える事なく(p = 0.4)、Streptococcus spp.を減少させる傾向を示した(p = 0.066)。試験2において、Streptococcus代表菌株に対するベツリンの最小発育阻害濃度は37.5 μg/mlであり、最大ODと増殖速度を抑制する効果が示された。