日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:梶川 博(日本大生物資源科学)、三森 眞琴(農研機構畜産研究部門)、神谷 充(農研機構中央農研)、福間 直希(帯広畜産大学)、杉野 利久(広大院生物圏)

11:40 〜 11:50

[I-16-17] シラカンバ由来天然化合物によるルーメンアシドーシス起因菌抑制効果の検証

*安達 一1、伊藤 和顕1、矢野 琳太郎1、西田 武弘1、花田 正明1、東 陽介1、檜山 亮2、関 一人2、原田 陽2、小林 祐輔3、菊池 尊治3、中井 真太郎3、福間 直希1 (1. 帯畜大院、2. 道総研林産試験場、3. エース・クリーン)

[目的] 反芻家畜特有の疾病であるルーメンアシドーシスは、ルーメン内常在菌Streptococcus spp.によって引き起こされる。そのため、本細菌を抑制することによる予防策が求められる。シラカンバに含まれる天然化合物であるベツリンは、ヒト口腔内に由来するStreptococcus spp.に対して抑制効果をもつことが報告されており、近縁種であるルーメン内のStreptococcus spp.に対しても抑制効果を示すことが予想された。この予想を確かめるため、本研究では天然化合物ベツリンによるルーメン内Streptococcus spp.の抑制効果を評価した。 [方法] 試験1:ルーメン内環境を模した人工培養系を用い、ベツリン添加区・無添加区の培養12時間後の細菌叢・揮発性脂肪酸量を比較した。試験2:代表菌株(S. bovis ATCC 33317)に対して濃度勾配をつけたベツリンを添加し、12時間培養を行い、1時間ごとにODを測定した。 [結果] 試験1において、ベツリン添加は揮発性脂肪酸量に影響を与える事なく(p = 0.4)、Streptococcus spp.を減少させる傾向を示した(p = 0.066)。試験2において、Streptococcus代表菌株に対するベツリンの最小発育阻害濃度は37.5 μg/mlであり、最大ODと増殖速度を抑制する効果が示された。