栄養・飼養2

[I-16-22] 植物性発酵混合飼料給与による短鎖脂肪酸を介した肉豚の全身免疫修飾効果

*塚原 隆充¹、池田 裕美²、小田 真知²、山本 知里³、木本 清嗣³、數村 公子⁴、井上 亮² (1. 栄養・病理研、2. 摂南大農、3. 清和酵源、4. 浜松ホトニクス)

免疫反応と生産成績は密接に関係しており，素材給与による免疫修飾を介した生産成績改善は，近年の抗菌剤慎重使用の潮流の中で重要性を増している。特に腸内細菌が生産する短鎖脂肪酸(SCFA)はブタのエネルギー源になる他，免疫にも重要な役割を果たす。本研究では，市販植物性発酵混合飼料(VF)の生産成績改善メカニズムを検証するため，白血球活性を測定し，様々な部位でのSCFAとの関係性を検討した。30日齢仔ブタ8頭を2群に分け，VF(ビタコーゲン，清和酵源製)1%添加飼料，又は無添加飼料を不断給餌した。6週間飼育後に頸部静脈から採血し，白血球活性を蛍光・発光同時計測装置(浜松ホトニクス製)で測定した。その後全頭剖検し，盲腸内容物及び粘膜，盲腸静脈及び門脈血を採取した。盲腸内容物及び粘膜中SCFA濃度はイオン排除HPLC，血中SCFA濃度はGC-MSで測定した。肉豚へのVF給与によって，白血球のミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性が71%，活性酸素産生が76%となり，VF給与による抗炎症作用が示された。群間に有意差が認められたMPO活性とSCFA濃度との相関では，盲腸内容物中のプロピオン酸及び吉草酸濃度に正の相関，盲腸静脈血中の酢酸，プロピオン酸及びイソ酪酸濃度に負の相関が認められた。VFによる肉豚の生産成績改善の一部は，大腸内で生産されるSCFAを介した白血球機能の修飾によると考えられる。