栄養・飼養2

[I-16-23] 泌乳牛へのアラビアガム給与による暑熱環境下での乳量・乳質改善の可能性

*川瀬 貴博¹、石川 翔、増田 慎也¹、堀田 義雄³、生田 健太郎²、塚原 隆充¹ (1. 栄養病理研、2. 兵庫淡路農技セ、3. 島貿易（株）)

【目的】泌乳牛は暑熱環境下で飼料摂取量が低下し、泌乳成績が悪化する。一方、アラビアガム(GA)を暑熱環境下のウサギへ給与することで、乳量及び乳質が改善することが報告されている。本研究では、ホルスタイン種泌乳牛を用いて、夏季泌乳成績がGA給与によって改善するかを検討した。
【方法】試験期間は2022年7〜8月とした。ホルスタイン種泌乳牛6頭を供試し、2群に群分けした。試験はクロスオーバーで実施し、試験開始後0〜3週は1群に毎日GA（FibergumFeed,ネキシラ製）100gをトップドレスで給与し、2群を無給与対照とした。3〜6週は1群を無給与対照とした。試験開始後3及び6週の乳汁、末梢血及びルーメン液を採取した。乳質検査、血液生化学分析に加え、GC-MS（島津）を用いたメタボローム分析、HPLC-CDD（島津）を用いた短鎖脂肪酸濃度及びUPLC-MS/MS（Waters）を用いたアミノ酸濃度の定量分析を実施した。 【結果及び考察】乳タンパク質率はGA給与で有意に高値を示し、泌乳量も高値を示す傾向にあったが（p=0.12）、飼料摂取量に差は認められなかった。既報で乳量及び乳タンパク質増加との関連が報告されているルーメン内のLeuやVal等のアミノ酸濃度がGA給与で有意に高値を示したことから、GAはルーメン内で特にアミノ酸代謝を修飾し、暑熱環境下の泌乳成績を改善する可能性が示唆された。