日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養2

2022年9月16日(金) 13:00 〜 17:00 Zoom会場1 (オンライン)

座長:黒澤 亮(東京農大)、泉 賢一(酪農大農食環境)、河合 正人(北大FSC)、塚原 隆充(栄養・病理研)、川瀬 貴博(栄養・病理学研究所)、石川 翔(兵庫淡路農技セ)、熊谷 元(京大院農)、平山 琢二(石川県大生物資源)

16:30 〜 16:40

[I-16-39] 黒毛和種去勢牛の血中ビタミンA濃度が体脂肪脂肪酸組成に及ぼす経時的影響

*吉田 恵実1、正木 達規1、大崎 茂1、細田 真菜2、上田 修司2 (1. 兵庫農総セ畜技セ、2. 神大院農)

【目的】兵庫県の枝肉市場ではモノ不飽和脂肪酸(MUFA)割合の表示販売を行っており、生産現場から脂肪質改善技術の開発が求められている。脂肪酸不飽和化酵素(SCD)はビタミンA(VA)が発現量に関与しているとラットで報告がある。当所の試験で血中VA濃度が体脂肪のステアリン酸割合に影響することが分かっている。そこで、VA濃度の違いが体脂肪のMUFA割合に及ぼす影響を検討した。【方法】12か月齢の黒毛和種去勢牛20頭をVA濃度の違いにより高区と低区に分けた。18~27か月齢時に、高区は40~50IU/dl、低区は20~30IU/dlで推移するようVAを給与した。飼料摂取量は毎日、体測値は毎月、血液成分は2か月毎に測定した。体脂肪は第5-6腰椎部の皮下脂肪を2か月毎に採取、分析した。30か月齢でと畜後、第6-7肋間の胸最長筋、筋間、皮下および腎周囲脂肪の脂肪酸組成を分析した。枝肉格付は日本食肉格付協会の格付結果を用いた。【結果】MUFA割合は経時的に増加したものの、試験区間で有意な差はみられなかった。多価不飽和脂肪酸割合は高区の方が28か月時に高値を示した。枝肉成績およびSCDmRNA発現量は差がなかった。脂肪酸組成と発育等の関係を調査した結果、MUFA割合と肥育中期1日あたり増体量に正の相関(=0.581)がみられた。中期の発育改善でMUFA割合を高められる可能性が考えられた。