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[I-16-39] 黒毛和種去勢牛の血中ビタミンA濃度が体脂肪脂肪酸組成に及ぼす経時的影響
【目的】兵庫県の枝肉市場ではモノ不飽和脂肪酸(MUFA)割合の表示販売を行っており、生産現場から脂肪質改善技術の開発が求められている。脂肪酸不飽和化酵素(SCD)はビタミンA(VA)が発現量に関与しているとラットで報告がある。当所の試験で血中VA濃度が体脂肪のステアリン酸割合に影響することが分かっている。そこで、VA濃度の違いが体脂肪のMUFA割合に及ぼす影響を検討した。【方法】12か月齢の黒毛和種去勢牛20頭をVA濃度の違いにより高区と低区に分けた。18~27か月齢時に、高区は40~50IU/dl、低区は20~30IU/dlで推移するようVAを給与した。飼料摂取量は毎日、体測値は毎月、血液成分は2か月毎に測定した。体脂肪は第5-6腰椎部の皮下脂肪を2か月毎に採取、分析した。30か月齢でと畜後、第6-7肋間の胸最長筋、筋間、皮下および腎周囲脂肪の脂肪酸組成を分析した。枝肉格付は日本食肉格付協会の格付結果を用いた。【結果】MUFA割合は経時的に増加したものの、試験区間で有意な差はみられなかった。多価不飽和脂肪酸割合は高区の方が28か月時に高値を示した。枝肉成績およびSCDmRNA発現量は差がなかった。脂肪酸組成と発育等の関係を調査した結果、MUFA割合と肥育中期1日あたり増体量に正の相関(r=0.581)がみられた。中期の発育改善でMUFA割合を高められる可能性が考えられた。