日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場2 (オンライン)

座長:口田 圭吾(帯畜大)、渡邊 敏夫(一般社団法人家畜改良事業団家畜改良技術研究所)、廣岡 博之(京大院農)、上本 吉伸(東北大院農)、萩谷 功一(帯畜大)

09:40 〜 09:50

[II-16-05] 黒毛和種の染色体レベルでの脂肪交雑と皮下脂肪厚の遺伝的関係性

*廣岡 博之1、井上 慶一2、西尾 元秀3、竹田 将悠規2、井上 喜信4 (1. 京都大学農学研究科、2. 家畜改良センター、3. 農研機構畜産部門、4. 鳥取県畜試)

【目的】黒毛和種や褐毛和種の遺伝的特徴として脂肪交雑と皮下脂肪の間に弱い負の遺伝相関があり、このことは脂肪交雑による選抜が皮下脂肪の増加をもたらさないという意味で望ましい関係であることが知られている。本研究ではゲノム情報を用いることでこれらの形質間の遺伝的関係性を染色体レベルで検討した。【方法】鳥取県および家畜改良センターで肥育された黒毛和種肥育牛1,908頭の脂肪交雑(BMSナンバー)と皮下脂肪厚の枝肉成績とSNP情報から染色体別にゲノム関係行列を構築し、ベイズ推定を実施して、染色体ごとのゲノム遺伝分散とゲノム育種価を推定した。【結果】ゲノム遺伝分散はBMSナンバーでは第2、7、12染色体で大きく、皮下脂肪厚では第3染色体で大きかったが、極端に大きな値を示す染色体は存在せず、これらの形質は主にポリジーンによって支配されていることが示唆された。これら2形質のゲノム育種価間の相関係数はゲノム全体では-0.118であったが、第21と28染色体で高い正の相関があり(0.579と0.512)、第6と9染色体で高い負の相関が認められた(-0.487と-0.470)。このことから、これらの染色体上の遺伝子はこれら2形質に対して強い多面作用のあることが示唆された。