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[II-16-14] 日本のホルスタイン集団において指定遺伝的不良形質の潜性遺伝子を保因する祖先牛の遺伝的寄与率の変化
【目的】指定遺伝的不良形質に指定されると遺伝子型検査が行われ保因牛の子孫の生産が制限され、一般に乳牛集団に対して寄与率が低下する。本分析では牛複合脊椎形成不全症(CVM)、牛白血球粘着性欠如症(BLAD)、牛単脊椎症(BY)および牛コレステロール代謝異常症(CD)の各潜性遺伝子を保因する祖先牛に関して参照集団に与える遺伝的寄与率を調査した。【方法】本分析には2021年までに生まれ登録された雌雄合計11,730,679頭を使用した。参照集団は1990年以降誕生年別に雌雄の集団に分けた。それら参照集団に対し4種の不良形質遺伝子を保因する祖先牛の寄与率を計算した。寄与率は合計で1になるように制限を設けた。それゆえ、不良形質を保因する祖先牛の合計寄与率は全寄与率に対する割合を示している。【結果】CVMとBLADを保因する祖先牛の寄与率は2003年に不良形質の指定直後一時的に低下したが、その後は雌雄の参照集団に対し9%から10%を維持した。CVMとBLADの寄与率は類似した傾向を示したが、これは両方の不良形質を保因し、かつ泌乳能力等の改良に貢献した種雄牛、カ-リンエム アイバンホ- ベル(USA1667366)の影響によることが判明した。この種雄牛は現在の雌雄の集団に対し未だに一定の割合で遺伝的に寄与していると推察された。それに対し、BYとCDを保因する祖先牛の寄与率は非常に小さかった。