日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 16:40 Zoom会場2 (オンライン)

座長:谷口 雅章(農研機構畜産研)、石川 明(名大院生命農)、笹崎 晋史(神戸大院農)、横井 伯英(京大院農)、福田 智一(岩手大理工)、間 陽子(東京大学院)

14:20 〜 14:30

[II-16-24] 口之島牛の非侵襲性試料から得られたSTR情報の個体識別及び親子関係調査への有効性

*印牧 美佐生1、Moe Lwin3、SLY Mon3、下桐 猛2、川本 芳4 (1. (一財)家畜研、2. 鹿大農、3. 鹿大院連農、4. 日獣生科大)

目的と方法:鹿児島県トカラ列島口之島に野生状態で生息している口之島牛集団の遺伝学的特性を調査するため、現地で収集した非侵襲性試料(主として糞便)から得たDNAを使ってSTR多型を解析した。糞便は綿棒で採取し、White and Densmore(1992)のLysis buffer中で保存した後、定法でDNAを抽出し、STR52座位の遺伝子型を解析した。結果:採取した109試料のうちSTRの成績が報告された75例について、型が判定できなかった座位数が3以下の69例の記録につき、それぞれ2例ずつの対で遺伝子型の同一性を検定した。完全一致が11組(データ数28)、1座位のみ不一致が3組(8)、2座位不一致が4組(16)、3座位不一致が1組(4)あり、これら19組は別個体由来とみなした。また、不一致座位が最低5以上ある14データは、別個体由来とみなした。合計33個体由来のSTR情報を基礎として、遺伝子型頻度と遺伝子頻度を求めた。52座位のうち、1 alleleの座位は10座位、以下、2 alleles(20)、3alleles(15)、4alleles(4)、5alleles(3)だった。全座位を用いた場合の個体識別確率は100%、2個体間の親子関係否定確率は93.7%であった。以上から、糞便等から得たDNA試料は、本集団の遺伝子構成を調査するための十分な情報を提供することが分かった。