日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 16:40 Zoom会場2 (オンライン)

座長:谷口 雅章(農研機構畜産研)、石川 明(名大院生命農)、笹崎 晋史(神戸大院農)、横井 伯英(京大院農)、福田 智一(岩手大理工)、間 陽子(東京大学院)

14:40 〜 14:50

[II-16-26] 純粋種豚の日増体重を暑熱ストレス指標によって2形質に分割した遺伝的パラメーターの推定

*福澤 陽生1,2、岡村 俊宏1、小川 伸一郎1、西尾 元秀1、石井 和雄1、田島 和侑3、髙橋 弘3、佐藤 正寛2 (1. 農研機構畜産部門、2. 東北大院農、3. グローバルピッグファーム)

【目的】温暖化に伴う暑熱ストレスによる豚肉の生産性低下は重大で,暑熱の影響を考慮した遺伝的能力評価手法の開発が求められている.本研究では,暑熱ストレス指標を用いて日増体重を暑熱下と非暑熱下の2つに分割して遺伝的パラメーターを推定した. 【方法】グローバルピッグファームとその関連4農場において2008年から2021年の間に収集されたランドレース種(L),大ヨークシャー種(W),デュロック種(D)における各品種約3万頭の日増体重の記録と,農研機構メッシュ農業情報データシステムより収集した各農場所在地における日最高気温の記録を用いた.まず,日増体重の記録を,区分回帰分析で求めた暑熱ストレスによって生産性が低下する閾値(L,W,Dそれぞれ24.6,22.0および21.5℃)で2分割した.次に通常の形質と分割した形質それぞれについて,単形質または2形質アニマルモデルAI-REML法により遺伝的パラメーターを推定した. 【結果】通常の形質の遺伝率は0.40~0.51,分割した2形質の遺伝率(非暑熱下と暑熱下)は0.46~0.57と0.42~0.54と推定された.いずれの品種でも形質を分割した方が高い推定値が得られ,暑熱ストレス指標で形質を分割する遺伝的能力評価が有用である可能性が示唆された.また,非暑熱下と暑熱下との遺伝相関は0.68~0.76と推定され,環境と遺伝の交互作用の存在が示唆された.