育種・遺伝2

[II-16-27] ブタの産肉および繁殖形質における遺伝的パラメーターの推定

*小川 伸一郎¹、西浦 明子¹、齋藤 ゆり子¹、石井 和雄¹、田島 和侑²、髙橋 弘²、佐藤 正寛³ (1. 農研機構 畜産研究部門、2. グローバルピッグファーム、3. 東北大院農)

【目的】包括的な育種方策の考案には複数形質の遺伝的パラメーターに関する情報が必要である。本研究では、ブタのランドレース（L）種、大ヨークシャー（W）種およびデュロック（D）種を対象に、産肉・繁殖形質の遺伝的パラメーターを推定した。【方法】グローバルピッグファーム株式会社にて収集された発育・分娩成績に関するデータを分析した。産肉形質として一日平均増体重（ADG）および背脂肪厚（BF）、繁殖形質として生存産子数、離乳頭数、哺育中死亡子豚数、哺育中子豚生存率、離乳総体重および離乳平均体重を対象とした。産肉形質および繁殖形質の記録数は、L種で46042件および27410件、W種で40467件および26716件、D種で42920件および12430件であった。遺伝的パラメーターは（反復率）アニマルモデルREML法により推定した。【結果】品種を問わず、推定遺伝率は産肉形質で0.4～0.5前後、繁殖形質で0.2未満であった。ADGとBFの推定遺伝相関は-0.01～0.10と無視できる程度であった。産肉形質と繁殖形質間の推定遺伝相関は、L種で-0.19～0.30、W種で-0.30～0.24、D種で-0.50～0.49と無から中程度であった。繁殖形質間の遺伝相関として幅広い値が推定された一方、収束推定値の得られない形質ペアが存在した。今後、産肉形質に母性効果を含むモデルを用いた分析を行う予定である。