日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 11:20 Zoom会場3 (オンライン)

座長:平山 博樹、片桐 成二、山下 泰尚、岩田 尚孝(東京農業大学)、真方 文絵、松田 二子(東大院農生命)

09:00 〜 09:10

[III-16-01] ルーメンセンサから得られる温度データの機械学習による乳牛の分娩予測

*古川 瑛理1、檜垣 彰吾2、松崎 明3、唄 花子4、高橋 昌志4、片桐 成二1、栁川 洋二郎1 (1. 北大院獣、2. 農研機構動衛研、3. The Better、4. 北大院農)

【目的】分娩監視に要する労力の軽減を目的に、ルーメン温度データの機械学習による分娩予測を試みた。【方法】ルーメンセンサ(LiveCareシステム、ULikeKorea、韓国)を留置したホルスタイン種牛18頭を供試した。分娩前14日から分娩後2日までの1時間毎のルーメン温度データを用いて、現在の値と前3日間の同時刻の値の差(差分ルーメン温度:rRT)を算出して解析した。分娩1~48時間前のrRTを基に階層クラスター解析を行うとともに、全期間のrRTを基に24時間以内の分娩を予測する機械学習モデルの構築を試みた。3種の機械学習モデル(ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク)を用い、交差検証により感度と精度(陽性的中率)を比較した。【結果】rRTは分娩前約48時間から5時間にかけて約0.7℃低下した。クラスター解析により供試牛を3群に分類すると、各群のrRTの低下開始時期と低下幅はそれぞれ分娩1.5日前・1.0℃、1.5日前・0.4℃、3日前・1.0℃であった。この結果を基に8つの特徴量(=説明変数)を抽出し、分娩予測モデルの作成・交差検証を行った結果、いずれのモデルでも、予測感度は約80~90%、精度は約80%であった。この予測感度はカットオフ値を用いた既報の予測手法の感度(69%)よりも高く、ルーメン温度データの機械学習による分娩予測の有用性が示された。