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[III-16-02] 口蹄疫発生に伴う人工授精の停止が黒毛和種繁殖雌牛の死産率に及ぼす影響
【目的】宮崎では2010年に口蹄疫が発生し、それに伴い同年4月から8月まで人工授精が停止された。本研究では、この停止が黒毛和種繁殖雌牛の死産の発生傾向に及ぼす影響を明らかにするために、口蹄疫前後の死産率の推移を調査した。【方法】本研究は宮崎に所在する約900の黒毛和種繁殖農場を対象として、口蹄疫前(2006-2010年)の41,184分娩記録および口蹄疫後(2011-2018年)の71,098分娩記録を分析に用いた。口蹄疫後の期間は平均死産率(1.80%)をもとに以下3つに分類した:口蹄疫後1(2011年5月-2013年2月:2.05%)、口蹄疫後2(2013年3月-2015年8月:0.90%)、口蹄疫後3(2015年9月-2018年12月:1.92%)。統計解析には混合効果ロジスティック回帰モデルを用いた。【結果】死産の発生率は、口蹄疫後1は口蹄疫前と同等であったが、口蹄疫後2で有意に低下し(P‹0.05)、口蹄疫後3で再び口蹄疫前の値に戻った。初産における高い死産リスクは口蹄疫前、口蹄疫後1・3でみられたが(P‹0.05)、口蹄疫後2ではみられなかった。冬分娩における高い死産リスクは口蹄疫前、口蹄疫後1でみられたが(P‹0.05)、口蹄疫後2・3ではみられなかった。以上より、口蹄疫後2では月当たり分娩頭数および初産牛分娩数が他の期間よりも低く、これが低下の要因と考えられた。