日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 11:20 Zoom会場3 (オンライン)

座長:平山 博樹、片桐 成二、山下 泰尚、岩田 尚孝(東京農業大学)、真方 文絵、松田 二子(東大院農生命)

09:50 〜 10:00

[III-16-06] ウシ卵巣顆粒層細胞におけるアドレノメデュリンの発現および機能の解析

*大下 雪奈1、中平 陽子1、棟朝 亜理紗1、真方 文絵1、松田 二子1 (1. 東大院農学生命)

【背景と目的】卵巣内では卵胞の発育と選抜が繰り返されているが、その分子メカニズムは十分に明らかでない。本研究では全身の様々な組織や細胞で発現する分泌ペプチドであるアドレノメデュリン (AM) に着目し、ウシ卵巣顆粒層細胞における発現と機能を明らかにすることを目的とした。【方法】食肉処理場由来のウシ卵巣を用い、直径4 mm以上の胞状卵胞それぞれから顆粒層細胞を採取し、AM遺伝子(AM)、AM受容体遺伝子(CALCRLRAMP2)および各種アポトーシス関連遺伝子のmRNA発現量をリアルタイムPCRにて定量し、その相関を解析した。また、ヒト顆粒層細胞株 (KGN細胞) にAM (0, 1, 10, 100 nM) を添加して24時間後、抗FAS抗体およびシクロヘキシミドを添加してアポトーシスを誘導し、6時間培養した。MTSアッセイにより細胞数を測定し、AMが顆粒層細胞のアポトーシスへ与える影響を解析した。【結果】ウシ顆粒層細胞におけるAMCALCRLおよびRAMP2の発現量は、アポトーシス促進因子であるFASおよびBcl-2結合Xタンパク質遺伝子 (BAX) の発現量と正の相関を示した。KGN細胞では、100 nMのAM添加によってアポトーシス誘導後の細胞の生存率が低下した。【考察】AMが顆粒層細胞のアポトーシスに促進的に作用することで卵胞の発育および選抜に関わる可能性が示唆された。