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[III-16-07] ウシ卵子成熟および発生における熱ショック非依存的なHSP70発現誘導と酸化ストレスに及ぼすEASの影響
【目的】本研究では、近年、熱ストレス非依存的なHSP70発現誘導と酸化ストレス軽減作用が体細胞で示されたアスパラガス茎抽出物(EAS)のウシ卵子への影響評価を目的とした。【材料・方法】ウシ卵子を採取し、体外成熟培養時にEASを(0.1 , 0.5 , 1.0 mg/ml)添加し、通常条件下(38.5℃)でウシ卵子の体外受精後の発生およびHSP70遺伝子とタンパク質発現量を検出した。次に、暑熱負荷(41℃)下での成熟培養時にEASを添加し、成熟培養後の卵子のROSおよびGSHレベルの検出と発生能を測定した。【結果】 非暑熱下では、EAS添加により胚盤胞発生率と総細胞数には有意差はなく、毒性は見られなかった。EAS添加により、卵子のHSP70の遺伝子およびタンパク質発現量の増加がみられた。胚盤胞率は、対照区と比べて暑熱負荷区で低下したが、EAS添加区では回復の様相がみられた。暑熱負荷により成熟後の卵子におけるROSの増加がみられたが、EAS添加によって低下した。一方、GSHレベルへの影響は見られなかった。本結果より、EASは熱ストレス条件下で酸化還元状態を調節することで、卵子の熱ショック応答性強化作用が示唆された。