日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 11:20 Zoom会場3 (オンライン)

座長:平山 博樹、片桐 成二、山下 泰尚、岩田 尚孝(東京農業大学)、真方 文絵、松田 二子(東大院農生命)

10:20 〜 10:30

[III-16-09] 黒毛和種供卵牛の栄養状態と経腟採卵・胚発生成績との関係

*中 美博1、藤森 康一郎2、山崎 淳1、鍋西 久1 (1. 北里大獣、2. フジモリ牛群サポート)

【目的】肉用牛繁殖経営において付加価値の高い子牛を効率的に生産する目的で経腟採卵-体外受精(OPU-IVF)の利用が増加している。供卵牛への負担が少ないことや短期間での反復採卵が可能であることなど多くの利点を有するが、採卵数やその後の胚発生成績にはばらつきがあるため、高位安定化を図ることが課題である。本研究では、OPUに適した飼養管理方法の確立を目的として、黒毛和種供卵牛の栄養状態とOPU・胚発生成績との関係について検討した。【方法】青森県内の民間牧場で実施した51回のOPUを対象とした。OPU時の供卵牛からの採血と、卵子吸引時に採取される卵胞液は遠心分離後生化学分析を行い、供卵牛の栄養度、OPU成績(回収卵数、卵子品質)、胚発生成績(胚盤胞発生率)との関連を検討した。【結果】良質卵子であるグレード1の割合と卵胞液中のGLU濃度、TP濃度、TCHO濃度に有意な関係性が認められた。また、血液と卵胞液成分濃度との間には正の相関が認められた。このことは、供卵牛の栄養状態によって卵胞液の組成も変化し、結果として卵子の品質にも影響を及ぼすことを示すものである。また、グレード1の割合が高いほど、胚盤胞発生率も高かったことから、供卵牛の栄養状態を最適化することにより、胚生産性も高められる可能性が示唆された。本研究の一部は(一財)畜産ニューテック協会「研究調査助成事業」の支援を受けて実施した。