日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 11:20 Zoom会場3 (オンライン)

座長:平山 博樹、片桐 成二、山下 泰尚、岩田 尚孝(東京農業大学)、真方 文絵、松田 二子(東大院農生命)

10:40 〜 10:50

[III-16-11] 牛性選別精液人工授精におけるレスベラトロールの同時注入が、精子の運動性、子宮内膜遺伝子発現および受胎率に及ぼす影響

*山口 昇一郎1、藤井 英之1、柿原 孝彦1 (1. 福岡県農林業総合試験場)

【目的】牛性選別精液は通常精液と比べて封入精子数が大幅に少なく、また選別による精子へのダメージが報告されている。そこで、深部注入器を用いた人工授精(AI)において、精子の運動性に関与するミトコンドリアへの保護効果があると報告されているレスベラトロール(Res)を同時注入することによって、受胎率の向上効果等について検討した。【方法】試験1:Res添加が精子運動性に及ぼす影響について検討した。性選別精液を融解後、20mMカフェイン添加モデナ液にResを0~300µM添加した希釈液で等倍に希釈し、38℃で培養した。対照区は、そのまま培養したものとした。試験2:AI5時間後の子宮内膜遺伝子発現への影響について検討した。AI方法は、300µM添加希釈液1mlを用いてYTガンで性選別精液のAIを実施した。試験3:受胎率について検討した。【結果】試験1:融解6時間後において、300µM添加区が対照区に比べて有意に運動性が高かった。試験2:IL-1βの遺伝子発現は、Res無添加の場合には、AI未実施に比べ有意に増加したが、Res添加では有意な増加は認められなかった。試験3:受胎率には差は認められなかった。以上の結果、Res添加により、精子運動性が長く維持されるとともに子宮内膜での炎症性サイトカイン(IL-1β)の遺伝子発現が抑制されることが明らかとなった。しかし、受胎率には影響が認められなかった。