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[III-16-16] ウシ栄養膜細胞の樹立および特性評価
【目的】近年ウシの受胎率が年々低下していることから受胎率の改善が求められている。その原因の一つが早期胚死滅による着床不全であるため、胚体外膜が子宮内で増殖し胎盤を形成する過程を、体外で再現することができれば原因解明に繋がる。本研究では、ウシ体外受精胚から効率的に栄養膜幹細胞が樹立できるか検討し、細胞の増殖率、妊娠認識物質であるインターフェロンタウ(IFNT)の分泌量や遺伝子発現解析により特性評価した。【方法】体外受精由来の胚盤胞は、既報のヒト栄養膜幹細胞培地で培養し、5日ごとに底面に接着した細胞面積を測定した。培養上清と細胞の一部を回収し、IFNT分泌量の測定および遺伝子発現解析に用いた。また培養条件が、細胞増殖性やIFNT分泌量への影響を調べた。【結果】ヒト栄養膜幹細胞培地は、ウシ栄養膜細胞を効率よく増殖することができた。IFNTの分泌量は培養10日目以降から上昇するものも見られたが、ばらつきが大きかった。遺伝子発現解析の結果、内在性レトロウイルス遺伝子の活性化や二核細胞遺伝子の発現上昇も確認できた。この結果からウシ栄養膜細胞の培養は、着床前に起こる現象を体外で再現することができ、IFNT分泌量のばらつきが不受胎の原因を再現している可能性が示された。