日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 14:30 Zoom会場3 (オンライン)

座長:川島 千帆(帯畜大畜産)、武田 久美子(農研機構畜産部門)、原 健士朗(東北大学・大学院農学研究科)

13:50 〜 14:00

[III-16-17] ウシ子宮腺による精子誘引

*渡邊 りお1,2、宗友 真帆3、杉野 耀亮3、木村 康二3 (1. 京大院農、2. 岡山大農、3. 岡山大院環境生命)

【背景】排卵前にウシ子宮腺内部へ精子が侵入する現象が報告されている。この現象は子宮内の免疫応答を引き起こし、胚の着床・生育に適した環境の維持に関与していると考えられるが、詳細なメカニズムは明らかでない。本研究は子宮腺が精子誘引能を有するかを検証する目的で行った。【方法】ウシ子宮を4つのステージに分類して用いた。(1)24穴プレートに精子懸濁液を入れ、インサートに培養液(対照区)およびⅠ-Ⅳの子宮角から採取した灌流液を入れて設置し、培養後にインサート内に誘引された精子数を測定した。(2)酵素処理によって単離したⅠ-Ⅳの子宮腺断片の培養上清を用いて(1)と同様に精子誘引実験を行った。(3)実験(1)と(2)の結果を踏まえ、ⅢとⅣの子宮内膜組織を精子と共培養し、薄層切片にした後にヘマトキシリン染色を行い、子宮腺の断面積あたりに侵入した精子数を測定した。【結果】(1)Ⅱによって誘引された精子数は対照区と比較して多かった。(2)Ⅰ、Ⅱ、Ⅳによって誘引された精子数は対照区と比較して多く、Ⅳで誘引された精子数はⅠ、Ⅲと比較して多かった。(3)子宮腺内腔の断面積あたりに侵入した精子数はⅢと比較してⅣで多かった。以上から、子宮腺は精子誘引能を持ち、特に排卵前においてその作用が強く働くことが示唆された。