日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養3

2022年9月16日(金) 15:00 〜 17:00 Zoom会場3 (オンライン)

座長:川﨑 淨教(香川大学)、林 義明(名城大農)、小池 聡(北大院農)、萩野 顕彦(東北大学)

15:00 〜 15:10

[III-16-21] 生乳中の遊離脂肪酸を高める飼養条件の考察

*窪田 明日香1、谷川 珠子2、堂腰 顕2、新宮 裕子2、木村 義彰2 (1. 道総研、2. 道総研酪農試)

【目的】生乳の異常風味の一種である脂肪分解臭(ランシッド臭)は、生乳中の遊離脂肪酸(FFA)の増加により発生し、FFAが2.0mmol/100g乳脂肪(100gfat)以上で発生リスクが高まる。FFAが高まる原因は、搾乳機器の不良や頻回搾乳等の物理的要因の他、暑熱や粗飼料の不足などの飼養管理的要因が指摘されているが、同一農場の長期間に及ぶバルク乳のFFAデータからの考察は少ない。そこで本研究は、FFAに変動のある農場のFFAが高値となる時期・要因を検証した。【方法】バルク乳旬報より旬別FFAの中央値が1.2mmol/100gfat以上の5~9月に昼夜放牧を行っている酪農場1戸を調査対象とした。バルク乳旬報はFFA含量、牛群検定成績は各個体乳成分について2019年~2021年の3ヶ年を調査した。【結果】2021年以外の放牧期のFFAは1.0mmol/100gfatと低かったが、2021年の放牧期にFFAが3.0mmol/100gfat以上に高まった。2021年は他年に比べて気温が高く、夏季高温がFFA増加の要因と示唆された。3ヶ年とも舎飼期のFFA含量は、2.0mmol/100gfat以上となる頻度が高かった。FFAが高い舎飼期の個体の乳タンパク質率およびMUNの平均値は2.9%および7.2mg/dLであったことから、分解性タンパク質およびエネルギーが不足していた可能性が考えられた。