3:30 PM - 3:40 PM
[III-16-24] イルカ用代用乳創製を目途とした予備的検討~ハンドウイルカ乳中の3種水溶性ビタミンの分析~
【目的】水族館では母イルカが育児放棄した場合、人工哺育が試みられているが、死亡例が多くイルカ用代用乳の創製が求められている。そこでイルカ乳成分を明らかにする必要があるが、採乳量(最大で約2mL)が少ないこともあり、ビタミン含量についての報告は少ない。そこで本研究では、少量のイルカ乳を用いた水溶性ビタミンの測定法を確立し、含量を測定することを目的とした。 【方法】新江ノ島水族館のハンドウイルカから乳を採取し、C18カラムを装着したHPLCで分析した。アスコルビン酸(AsA)は、90μLの乳をジチオスレイトールで、デヒドロアスコルビン酸を還元したのち、限外ろ過し、そのろ液を測定波長254nmで分析した。チアミン、リボフラビンは、500μLの乳を酵素分解後、15%NaOH(1.5%フェリシアン化カリウム含有)を加えリン酸で中和したのち、Sep-pakC18で前処理した。測定波長はチアミンで励起波長:375nm,蛍光波長:430nm、リボフラビンは262nmで分析した。 【結果及び考察】牛乳に比較して、イルカ乳はチアミン、AsA含量が多いが、リボフラビン含量はほぼ同量であった。鯨類の多くは、体内でAsAを合成できず、乳を介して仔に与える必要があり、乳中の含量が多いと考えられる。授乳中のハンドウイルカの血中チアミン濃度は低いという報告を併せ考えると、血中のチアミンが乳に移行していると考えられる。