日本畜産学会第130回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演2(遺伝・育種、繁殖・生殖工学、形態・生理)

2022年9月15日(木) 09:00 〜 11:00 Zoom会場2 (オンライン)

座長:大山 憲二(神戸大学)、岡田 幸之助(日本獣医生命科学大学)、高坂 哲也(大阪物療大学)、杉村 智史(東京農工大学)

10:15 〜 10:30

[IIYS-06] GPR75シグナリングは摂食を促進的に制御し高脂肪食による 過食・肥満・高血糖・インスリン抵抗性を仲介する

*大塚 裕記1、平林 真澄2、井上 直子1、束村 博子1、上野山 賀久1 (1. 名大院生命農、2. 生理研)

視床下部は、摂食や繁殖を制御する中枢である。我々は先行研究により、ラット視床下部にGPR75が高発現することを見出した。本研究ではGPR75シグナリングの生理機能を明らかにすることを目的とし、Gpr75ノックアウト(KO)が摂食、代謝および繁殖に及ぼす影響を検討した。雌雄Gpr75 KOラットの摂食量と体重は、野生型(WT)と比較して有意に少なかった。一方、性成熟開始や黄体形成ホルモンのパルス状分泌に、WTとGpr75 KO群間で有意な差は認められなかった。次に雄ラットを用い、GPR75が過食や肥満に関与する可能性を検討した。WT高脂肪食群では、通常食と比べ摂食量が有意に増加し、体重、内臓脂肪量が有意に増加した。一方、Gpr75 KOラットでは、高脂肪食による摂食量、体重、内臓脂肪量の増加は認められなかった。WT高脂肪食群では、糖負荷後の血糖値と血中インスリン濃度が高く維持された一方で、Gpr75 KO高脂肪食群では、糖負荷後に血糖値と血中インスリン濃度が一過性に上昇した後、速やかに基底値を回復した。以上より、GPR75シグナリングは繁殖制御には関与せず、摂食を促進的に制御し、高脂肪食による過食、肥満、高血糖、インスリン抵抗性を仲介する可能性が示された。GPR75をターゲットとした作動薬、拮抗薬の開発は、繁殖に影響を与えることなく、摂食、体重を制御する技術の開発に繋がると期待される。