日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場4 (オンライン)

座長:太田 毅(京大院農)、豊後 貴嗣(広大院生物圏)、川端 二功(弘前大農生)、杉山 稔恵(新潟大学農学部)、鈴木 貴弘(九大院農)、落合 優(北里大学獣医学部 動物資源科学科 栄養生理学研究室)、盧 尚建(東北大学・大学院農学研究科)

09:00 〜 09:10

[IV-16-01] ウマ赤血球浸透圧脆弱性の個体差に対するpHと温度の影響

*住吉 克樹1、千葉 恭平1、原 ひろみ2、平野 貴2、半澤 惠2 (1. 東農大院農、2. 東農大農)

【目的】ウマ赤血球浸透圧脆弱性(低張NaClに対する溶血率:Hemolysis,HL)の個体差の原因を解明する一助として,HLに個体差が認められる4頭の間でpHおよび温度がHLに及ぼす影響を比較した.【材料および方法】大学馬術部所属の競技馬4頭(HP:19,LC:15,SS:18,TA:15歳)より,2週間間隔で計14回(TAは12回)採取した頸静脈血から調整した赤血球をpH(7.0,7.4,7.8)および温度(32,37,42℃)を組合わせた計9種類のTris-MOPS培地に20%血球浮遊液として10分間静置した後,0.52%NaCl中でのHL(1%浮遊液,室温,30分後)を測定した.【結果および考察】生理的状態に近いpH7.4・37℃のHLは個体SS (27) < TA (34) < HP (43) < LC (54%)であった.すべての個体でpHおよび温度が高いほどHLが低くなる傾向が認められたが,個体SSとHPではpH7.0・32℃とpH7.0・37℃のHLに差が無かった.またどのpHでも,すべての個体で42℃のHLは,37℃に比べて有意に低く,また42℃のHLはすべてのpHで個体SSとTAとの差,ならびに個体HPとLCとの差がなくなった.したがって,HLに影響する膜強度,ならびに容積調節機能のpHおよび温度感受性に個体間差のあることが示唆された.