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[IV-16-12] 有機畜産実践牧場で生産された日本短角種の骨格筋特性
【背景】近年、SDGsの達成の観点から有機畜産への取り組みが注目されている。現状、国内で取り組まれる有機畜産の飼養管理は様々でグラスフェッド(草資源のみ)およびグレインフェッド(穀物併用)、日本短角種やアンガス種など飼養管理と品種を組み合わせると多岐にわたり、その飼養管理や品種の特性が明確ではない。したがって、本研究ではまず有機畜産に取り組む日本短角種飼養牧場を対照として有機畜産物(骨格筋)の科学的特性に明らかにすることを目的とした。 【方法】グラスフェッドまたはグレインフェッド(各2牧場)で飼養される日本短角種去勢雄を用いて、骨格筋特性(筋線維型構成割合、脂肪滴含有筋線維および脂肪酸組成:広背筋、僧帽筋、胸最長筋、胸腹鋸筋、上腕三頭筋、大腿筋膜張筋、大腿二頭筋近位部および中遠位部、半膜様筋、鎖骨頭筋乳突部、指伸筋、趾伸筋)を解析した。 【結果】各骨格筋の筋線維型構成割合はグレインフェッドでは速筋型のⅡ型(ⅡA型+ⅡB型)筋線維の割合が多く、穀物給与量または期間に依存にすること、グレインフェッドにおいても一定量のⅠD型筋線維が存在する骨格筋が存在することが明らかとなった。また、グラスフェッド日本短角種で脂肪滴含有筋線維の割合が高く、脂肪酸組成では大腿二頭筋近位部でのαリノレン酸含量が有機管理で生産されるグラスフェッド日本短角種の明確な特徴となる可能性が示唆された。