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[IV-16-14] 哺乳期の日長によるマウスの増体促進メカニズムおよびウシ骨格筋の
エピジェネティック制御
季節の変化は主に日長を介して動物の生理や行動を調節する。我々はこれまでに、マウスの哺乳期を長日条件で飼育すると、長期的に体重増加や骨格筋の遺伝子発現変化が見られることを解明した。本研究では、1)哺乳期の日長による増体促進メカニズムの解明、および2)哺乳期の日長がウシの産肉性や骨格筋のDNAメチル化やヒストン修飾に及ぼす影響の解明を目的とした。マウスを用いた実験では、効率的に体重を調節できる条件を見出すため、自然日長の変化速度を2段階で設定し、出生直後より春から夏あるいは秋から冬への日長変化を再現した。その結果、夏への日長の変化速度が速いパターンで体重の増加促進がみられた。当該条件で飼育したマウスの6週齢時の視床下部における遺伝子発現をmRNA-Seqによって解析した結果、成長や神経新生/分化に関わる多くの遺伝子発現が長日条件で亢進していた。現在、これらの発現変化とグルココルチコイド経路の関連を解析している。黒毛和牛において、哺乳期を長日で飼育した区では、短日区に比べて、出荷時(41-47カ月齢)の枝肉総重量が多い傾向が見られた。マウスとウシの骨格筋で哺乳期の日長により長期的な発現変化を示すStx16のプロモーターに着目し、出荷時の骨格筋サンプルにおけるDNAメチル化率を解析した。長日・短日区ともにメチル化率が低かったため、DNAヒドロキシメチル化についても検討する必要がある。