日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 12:00 Zoom会場4 (オンライン)

座長:太田 毅(京大院農)、豊後 貴嗣(広大院生物圏)、川端 二功(弘前大農生)、杉山 稔恵(新潟大学農学部)、鈴木 貴弘(九大院農)、落合 優(北里大学獣医学部 動物資源科学科 栄養生理学研究室)、盧 尚建(東北大学・大学院農学研究科)

11:30 〜 11:40

[IV-16-16] 乳牛の乾乳前後における分房乳中抗菌因子濃度の動態と体細胞数との関連

*鈴木 直樹1,2、原田 梨花1、津上 優作1,2、新居 隆浩1,2、磯部 直樹1,2 (1. 広島大院統合生命、2. 広島大RCAS)

【背景】乳牛にとって乾乳期は乳房炎の新規発生リスクが高い時期である。今回、乳中に存在する抗菌因子濃度の乾乳前後における動態と、分娩後の体細胞数(SCC)との関連を調べた。
【方法】同一酪農場のホルスタイン乳牛19頭72分房を用いた。乾乳開始時および分娩7日後の個体乳量、分房乳中SCCおよび抗菌因子(IgG、IgA、ラクトフェリン(Lf)、lingual antimicrobial peptide(LAP)、S100A7)濃度を測定した。SCCを300,000 cells/mlを基準に高低で分け、乾乳開始時に低SCCだった分房について、分娩後のSCCが高い(新規高SCC区)もしくは低い(健常区)分房に分け、乾乳開始時の抗菌因子濃度を比較した。
【結果および考察】乳量は分娩後の方が有意に高かった。乳中IgG、IgA、Lf濃度は分娩後の濃度が乾乳開始時に比べ有意に低かったが、LAP濃度は有意に高かった。また、乾乳開始時と分娩後の乳中IgA、LAP、S100A7濃度に有意な正の相関を認めた。乾乳開始時のIgGおよびLAP濃度は、健常区が新規高SCC区に比べ有意に高かった。乾乳開始時のIgG濃度は分娩後にかけて濃度が持続しないため、より効率的な感染制御にはワクチン接種が重要と考えられた。一方、LAPは高濃度を維持することで乾乳期間全体の新規感染を防ぎ、分娩後のSCC上昇を抑制していると考えられた。