日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 15:40 Zoom会場4 (オンライン)

座長:松崎 正敏(弘前大農学生命)、村井 篤嗣(名大院生命農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、小笠原 英毅(北里大獣医)

14:20 〜 14:30

[IV-16-24] ザイモサンとガラクトサミンはニワトリヒナの肝損傷を引き起こさない

高橋 真紀1、シャキル カーン2、牧野 良輔1、*橘 哲也1 (1. 愛媛大農、2. 大分大医)

真菌の細胞壁成分であるザイモサンはニワトリヒナの免疫系を活性化させるとともに、食欲や飼料の消化管通過を抑制する。哺乳類では、ザイモサンが肝臓をはじめとする器官の損傷を引き起こすこと、この作用がガラクトサミン(D-GalN)によって増強されることが報告されている。このことから、ヒナにおいてザイモサンによって引き起こされる食欲や飼料の消化管通過の抑制は、様々な器官の損傷によって生じている可能性がある。そこで、本研究ではヒナへのザイモサンおよびD-GalNの同時腹腔内投与が血中の肝損傷の指標成分に与える影響を調べた。卵用種ヒナを4群に分け、それぞれ生理食塩水(対照)、2.5 mgのザイモサンのみ、40 mgのD-GalNのみ、またはザイモサンとD-GalNの両方を腹腔内投与した。投与6および24時間後に採血し、血漿中AST、ALTおよびLDH活性を調べた。その結果、いずれの酵素の活性もザイモサン、D-GalNおよびその同時投与による影響を受けなかった。哺乳類ではザイモサンやD-GalNによる肝損傷には酸化ストレスが関与していると考えられているため、投与6時間後に肝臓を採取し、肝臓のTBARS濃度およびSOD活性を調べた。しかし、いずれの投与もこれらの値に影響を与えなかった。以上の結果から、ザイモサンはニワトリヒナの器官に損傷を与えずに食欲や飼料の消化管通過を抑制している可能性が示唆された。