日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 15:40 Zoom会場4 (オンライン)

座長:松崎 正敏(弘前大農学生命)、村井 篤嗣(名大院生命農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、小笠原 英毅(北里大獣医)

14:30 〜 14:40

[IV-16-25] 卵黄輸送能が異なるIgY変異体とホスホリパーゼA2受容体の分子間相互作用解析

*岡本 真由子1、佐々木 諒1、兒島 孝明2、村井 篤嗣1 (1. 名大院生命農、2. 名城大農)

[目的]母ドリの血中IgY抗体は卵黄へ選択的に輸送されるが、その仕組みは不明である。このIgY輸送を担う受容体の候補として、卵黄嚢から胚循環血へのIgY輸送を担うホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)に注目した。本研究では、IgYとPLA2Rの分子間相互作用を解析し、卵黄へのIgY輸送におけるPLA2Rの寄与を考察した。
[方法]実験1: 分泌型のPLA2Rを固相化した96 well plateを用いて、PLA2Rに対するウズラIgY-Fcの野生型(WT)、卵黄輸送能が異なる2種類の変異体(Y363A、G365A)の結合量を解析した。さらに、ジゴキシゲニン標識したウズラIgY(DIG-IgY)との競合試験を行った。実験2:分子間相互作用解析システム BLItz を用いて、PLA2Rに対するWT、Y363A、G365Aの結合量と動態を解析した。
[結果]実験1:卵黄へ輸送されないY363Aは、PLA2Rへの結合量がWTよりも約2倍多いことが判明した。WTよりも卵黄輸送能が高いG365Aは、DIG-IgYの結合を強く競合阻害した。実験2:WTと比較して、G365AはPLA2Rへの結合速度が約2.1倍速く、Y363Aは解離速度が約4.3倍遅くなった。
[結論]卵黄輸送能が異なるIgY変異体はPLA2Rとの結合量と動態が異なることが判明し、PLA2Rが卵黄へのIgY輸送に関与する可能性が示唆された。