14:40 〜 14:50
[IV-16-26] 子牛の腸管内における抗体の細菌への結合性
【目的】子牛は消化器病の発生リスクが高く、その予防には健全な腸内環境の形成と維持が求められる。他の動物種において、腸内の抗体が共生細菌と結合することでその活性を制御し、腸内環境の維持に貢献することが知られているが、子牛においても同様であるかは不明である。本研究では腸内における抗体の腸内細菌への結合性を調査し、抗体が子牛腸内環境に与える影響について知見を得ることを目的とした。 【方法】哺乳中のホルスタイン種子牛5頭(雄1頭、雌4頭)より、0-3、7、14および21日齢時に直腸糞を採取した。これらのサンプルより細菌画分を分取して、蛍光標識した抗IgA、抗IgGおよび抗IgM抗体と反応させた。蛍光フローサイトメーターにより総細菌のうち前述した各クラスの抗体が結合した細菌の割合を測定した。 【結果と考察】総細菌に対するIgA結合率は50%程度、IgG結合率は10%程度、IgM結合率は15%程度で推移し、成長に伴う顕著な変化はなかった。また、すべてのタイムポイントにおいてIgGおよびIgMの結合率と比較してIgAの結合率が有意に高かった。本研究より、子牛の腸管内における抗体の細菌への結合性はクラス間で異なり、特にIgAは高い結合性を持つことで腸内環境の維持に貢献する可能性が示唆された。