日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 15:40 Zoom会場4 (オンライン)

座長:松崎 正敏(弘前大農学生命)、村井 篤嗣(名大院生命農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、小笠原 英毅(北里大獣医)

15:00 〜 15:10

[IV-16-28] ウシルーメン上皮におけるPPARαの発現調節因子と機能について

*堀田 昌平1、平原 卓磨1、杉山 尚人1、金 民知1、西原 昂来1、盧 尚建1 (1. 東北大院農)

【目的】反芻動物の哺乳期‐離乳期の移行期には、短鎖脂肪酸(SCFA)、リポ多糖(LPS)やフラジェリンの増加により、ルーメン内環境が大きく変化する.先行研究より、黒毛和種の離乳前と離乳後のルーメン絨毛組織において上流の調節因子の1つとしてペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α(PPARα)が特定された.したがって、本研究ではルーメン上皮におけるPPARαの発現調節因子と機能について検討した.【方法】ウシルーメン上皮細胞を、SCFA-Na、BHBA、乳酸、LPS、IL-1β、フラジェリンを含む培地で培養した後、qPCRにてPPARα、TLR5、NF-κB1の遺伝子発現を解析した.また、PPARαのアゴニスト(WY14643)とアンタゴニスト(GW6471)を含む培地で培養した後、MTTアッセイにて細胞増殖能を測定した.【結果】フラジェリン刺激区において、PPARα、フラジェリンの受容体であるTLR5、核内転写因子であるNF-κB1の遺伝子発現が有意に高かった.しかし、それ以外の刺激区においては遺伝子発現に差は認められなかった.また、PPARαアゴニスト刺激によって細胞数が用量依存的に有意に減少し、アンタゴニスト刺激によって細胞数が回復した.以上の結果より、ルーメン上皮細胞においてPPARαは、フラジェリンによってTLR5とNF-κBの経路で調節され、細胞増殖に関わることが示唆された.